Introduction
カンヌ国際映画祭の最高賞・パルムドールを2回、ベルリン国際映画祭・銀熊賞、ベネチア国際映画祭・銀獅子賞を受賞と、世界三大映画祭を制覇したエミール・クストリッツァ監督による9年ぶりの監督作。今回は監督・脚本だけでなく主演も務め、ヒロインに全世界で大ヒットを記録した『007 スペクター』でボンドガールに抜擢された“イタリアの宝石”モニカ・ベルッチを迎えた。
隣国と戦争中のとある国。右肩にハヤブサを乗せたコスタ(エミール・クストリッツァ)は、村からの戦線の兵士たちにミルクを届けるため、毎日銃弾をかわしながらロバに乗って前線を渡っている。 国境を隔てただけの、すぐ近場同士で続く殺し合い。いったい戦争はいつ終わるのか、誰にも見当がつかない。
そんな死と隣り合わせの状況下でも、村には呑気な暮らしがあった。おんぼろの大時計に手を焼いている母親と一緒に住んでいるミルク売りの娘ミレナ。美しく活発な彼女の魅力に村の男たちはメロメロで、皆がミレナ目当てもあってこの家のミルクを注文する。
そのミルクの配達係に雇われているのがコスタだ。コスタに想いを寄せているミレナは、ひとつの計画を思い描いていた。戦争が終わったら、兵士である兄のジャガが戦場から帰ってくる。兄は、この家に花嫁として迎える女性と結婚する予定だ。その時と同じ日に、自分はコスタと結婚するのだと――。